阿部 勇司

2000年の介護保険制度スタート後、すぐにホームヘルパーの資格を取得し、訪問介護の現場で働きました。
当時はまだ少なかった、24時間対応をしていた事業所の深夜枠~午前枠を主に担当したのち、一時は管理職を経験したものの、施設介護にも興味を抱き、その後病院へと入職しました。
病院では看護助手として現場業務に携わったのち、事務職へ配属。
窓口業務や診療報酬の請求業務を経験した後、経営企画室に配属され病院の運営全般に携わらせてもらいました。
2014年、ホワイトボックス(株)に入社。
現在はアセアン進出支援協会の

記事一覧(33)

在宅がん総合診療料のメリットとデメリット

こんにちは。ホワイトボックス コンサルティング部の阿部です。 今回は、医療事務領域の話しになります(興味のない人には、全くつまらない話しになってしまいますので、ここで読むのを辞めたほうがお得です(^^)) 先日、クライアント先の病院の医事課の担当者から、末期の悪性腫瘍(癌)の患者さんの訪問診療がはじまるので、算定できる項目を復習しておきたいという連絡がありました。 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の届け出をしている病院で、さらに「在宅がん総合診療料」に関する届け出をしている医療機関の場合、通常の訪問診療料の他に、条件次第ではこの「在宅がん総合診療料」の算定が可能になります。C003 在宅がん医療総合診療料 要約C003 在宅がん医療総合診療料(1日につき)A.在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の機能強化型(単独型・連携型)病床を有する場合処方箋を交付する場合  1,800点処方箋を交付しない場合 2,000点病床を有しない場合処方箋を交付する場合  1,650点処方箋を交付しない場合 1,850点B.在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の機能強化型以外処方箋を交付する場合  1,495点処方箋を交付しない場合 1,685点▽在宅がん医療総合診療料は、在宅で療養を行っている末期の悪性腫瘍の患者であって通院が困難なものに対して、同意のうえ計画的な医学管理のもと訪問した場合、暦週(日曜~土曜)の1週を単位として算定する(訪問診療・訪問看護合わせて週4日以上が要件であるが、これを満たせば、実際に訪問した日が合計して4日しかなかった場合でも、7日分が算定できる)。=在宅がん総合診療料の主な算定要件= 往診及び訪問看護を24時間提供できる体制を確保し、担当者の氏名・電話番号・担当日・緊急時の注意事項等を文書により提供する 当該患者を担当する居宅介護支援事業所のケアマネージャーに、患者の予後や今後想定される病状の変化、また変化にあわせて必要となるサービス等について、適時情報提供をおこなう 当該患者に対し、訪問診療又は訪問看護を行う日が、合わせて週4日以上あること。ただし、週1回以上の訪問診療、週1回以上の訪問看護のいずれかが行われる必要 =算定ケースのイメージ=ケース1 → 算定〇 区分  日 月 火 水 木 金 土 計訪問診療 ― 〇 ― 〇 〇 ― ―3訪問看護 〇 ― 〇 ― 〇 ― 〇 4*上記ケースでは、訪問診療と訪問看護が合わせて週7回あり、訪問診療・訪問看護のいずれも1回以上行われており、当該診療料の算定要件を満たしている〈算定式(在支病「機能強化型以外」)で処方箋の交付ありの場合〉1,495点×7日=10,465点ケース2 → 算定× 区分  日 月 火 水 木 金 土 計訪問診療 ― ― ― ― ― ― ―0訪問看護 〇 ― 〇 ― 〇 ― 〇 4*上記ケースは、訪問看護は週4日以上行われているが、訪問診療が週1回以上という要件を満たしていないため、算定不可▽当該患者が一時的に入院した場合、入院日も含めて、ケース1に類似した要件に該当している場合、同診療料を算定することができるが、入院に係る費用は別に算定できないケース3 → 算定〇(ただし、入院に係る費用は算定不可) 区分  日 月 火 水 木 金 土 計訪問診療 ― 〇 ― 〇 〇 ― ― 3訪問看護 〇 ― 〇 ― ― ― ―2入院等 入院 入院 退院 〈算定式(在支病「機能強化型以外」)で処方箋の交付ありの場合〉 1,495点×7日=10,465点    ↑ 上記ケースの場合、入院先が自院なら良いが、他院のケースでは受けた病院のデメリットが大き過ぎる。入院医療との併算定不可が要件になるので、どちらかが妥協する必要がでてくる=在宅がん総合診療料算定のメリット、デメリット=メリット1. 週4回以上の訪問は、訪問診療・訪問看護のどちらかで満たせばよい2. 1の条件を満たせば、実際は週4日の訪問であっても、7日分を請求できるデメリット1.同診療料を算定できるのは“医療機関のみ”。別法人の訪問看護ステーションとの連携の場合、係る費用は同加算に包括されてしまい、医療機関が訪問看護ステーション側に対し、要した費用を支払う必要が生じるなど、手続きが煩雑になる2.終末期が近づき訪問看護による訪問回数が、1日に複数回に及ぶ等の場合には、請求できる点数よりも係る費用のほうが高くなる可能性がある3. 入院した場合、当該する週に、当該診療料の算定要件を満たしていれば、当該診療料を算定できるが、入院医療に係る費用は算定できない。(1)仮に、入院元に条件を譲る等の妥協が生じた場合、訪問診療分は仕方ないとしても、訪問看護分の処遇をどうするか等、検討しなければならない事項が増える=結論= 在宅がん医療総合診療料の配点は、例えば訪問診療を週1回、訪問看護が週3回だったとしても、1か月(4週)の点数は41,860点(410,860円)と高いものがあります。ただし、他法人の訪問看護ステーションと連携して実施するような場合には、この報酬の中から、訪看ステーションへの報酬を配分しなければならない必要があるなど、手続きが煩雑になるうえ、ステーションの訪問回数をコントロールしにくい面があります。 ここまで一緒に考えてみた結果、同加算は自法人で訪問診療・訪問看護を展開し、かつ緊急時に入院できる体制が整っていればメリットは大きいですが、そうでない場合にはデメリットが大きいという結論に至りました。 ちなみに、この病院では訪問看護を自前で提供できる体制になかったこと、また訪問診療の回数はターミナル期を除いてそこまで増えないだろうということで、この患者さんのケースでは在宅がん総合診療料では算定せずに、訪問診療料に係る診療報酬で算定していくこととなりました。

忘れられた病気ではないHIV感染症

 こんにちは。ホワイトボックス コンサルティング部の阿部です。 HIVまたはAIDSについて、皆さんの周りで話題にあがることはありますか? 私個人の例でいえば、精神科病院に勤務している時には比較的話題にあがることがあったものの、今ではすっかり聞かなくなっていた話題になっていました。しかし先日、ある療養型病院でこの話題があがりました。  まずHIVとAIDSを整理すると、このブログにでてくるHIVはHIV感染者を指し、後天性免疫不全症候群のキャリア(保菌者)ではあるものの、まだ発症はしていない人を指し、エイズ(AIDS)は初回の診断時にAIDSと診断された人のことと定義します。このため、HIV感染者がAIDSを発症した場合は除くこととします。  この定義でいうと、2017年末のHIV感染者は19,896件、AIDS患者は8,936件で、計28,832件が日本国内で報告されています。傾向として、新規報告数は増えてはいないものの、横這いで推移しているといわれています。  このAIDSに関してですが、最近では死の病ではなくなっているため、HIVのキャリアーとして日常を過ごし、AIDSを発症しないまま、他の疾患で病院で治療を必要とするケースが増えてきているのです。  全国には約380のエイズ治療拠点病院が選定されていて、国内を8ブロックに分けられたうえ、それぞれのブロックにブロック拠点病院が設置されています。先日、クライアント先の病院を介して、あるエリアのブロック拠点病院の担当者に話を伺う機会がありました。地方都市圏にあるその病院では、登録ベースで治療を受けている患者が約3,500人。常時通院している人が約2,000人ほどいるそうですが、多くの人のケースでHIVウィルスは投薬によりコントロースされており、通院のペースは3カ月に1回程度が通常なのだそうです。  患者層の中心は40~50代にあるようですが、すでに高齢になり自立した生活を送ることが困難なHIVキャリアーの方たちもいるそうで、一般の人たちと同じように、こうした人たちを受け入れてくれる病院や介護施設の拡充が求められていることを教えられました。  正しい知識と対処法を心得ておけば、特別な対応を必要とはしない。それが、現在のHIVキャリアーに対する考え方のようです。治療薬・治療方法の飛躍的な進歩により、AIDSによる死亡者数は減少しているというWHOの発表もあるものの、まだ医療機関の従事者でさえ、しっかりとした認識を持って対処している人は少数派でしょう。  全国にあるエイズ治療拠点病院では、医療機関や介護施設に対し、エイズに関する研修を無料で実施してくれます。⒮炊きに、患者層の中心は40~50代と記しましたが、この年代の人たちが高齢者になる時代はもうすぐそこまで来ています。少しでも多くの医療機関や施設で、こうした人たちの受け入れが可能となること、そして何よりも医療や介護に携わる人たちは、正しい知識と対処法を身に着けておく必要があるのではないでしょうか。  鑑みれば、血液検査においてHIV感染症に関する項目を検査するには、本人の同意を必要とします。ということは、日常行われる血液検査ではHIVキャリアーの有無は一切分からないのです。言ってみれば、どんな感染症を有しているかも分からない人への接し方と、キャリアーであることが分かっており、その対処法も理解して接している場合とは、どちらが本当に安全なのか。  そんな当たり前のことを考える、良い機会を今回は仕事を通してもらうことができました。